国保料改訂 承認と反対の狭間@福島尚美
4月27・28日の臨時議会に、専決処分の承認議案が提出されました。
承認したのには、唐津市がどうこうできる内容でないという仕組みの問題があります。国民健康保険の負担が過大で、是正が必要との考えはもっています。政党所属の頃は反対していましたが、たとえ当該自治体の采配で如何ともし難いとしても政党の考えというのは国から地方自治まで一貫するものと思っていますので、その時の立場としては反対するものだったと捉えています。
まず、今回の専決処分の内容が以下です。
◆軽減される方の枠が広がりました。
赤枠内が、51万円が52万円へ。28万円が28万5000円へ。
これによって、これまで軽減対象でなかった世帯が2割軽減の対象となり、2割軽減の一部世帯が5割軽減になられます。
◆最高額の方の負担が増えます。
赤文字にした部分が、改正前です。
これによって、これまで95万円だった最高額が98万円になりました。
この方たちは、年収1億円だとかいう訳ではありません。唐津にそんな世帯がどれくらいあるかと思いますが、最高額に達する世帯は確かにいらっしゃいます。税額の算出方法が複雑で、年収いくらの世帯と単純に出すことができませんが、大きな負担であることに違いはないでしょう。
では、なぜ承認なのか。それは、そもそも国の制度設計に問題があるからです。完璧な理解ができている訳ではありませんが、引き続き、学習に努めますので不束な点はご容赦くださいませ。
国の制度設計ですので唐津市が変えることが出来ない。・・・例えば、あなたに決める権限がないことについて、あなたの責任を問われたら「ご無体な・・・( ;∀;)」と思われますよね。
全国知事会と、全国市長会はずっと国保の負担を社会保険のように引き下げるように、国庫負担を増やすよう、また、子どもについては国保料負担の積み増しに数えないように求めています
・全国市長会 令和2年度国の施策及び予算に関する重点提言(令和元年11月14日)
http://www.mayors.or.jp/p_opinion/documents/191114jyuten_teigen11.pdf
では、国民健康保険税って、どんな仕組みになっているのでしょうか。
国保の負担を妥当なものにするために、どうすればいいのでしょうか。
厚生労働省が国民健康保険制度を県単位の広域化したときに出した資料を見てみましょう。
「保険給付」にあるとおり、給付に必要な費用は県が市町村に支払います。
これにより、唐津市で医療費を下げることが、保険料に直結という分かりやす仕組みではなくなりました。
国庫負担について、毎年度3400億円を財政支援となっていますが、求めたいのは1兆円の支援です。
「※保険料水準が急変しないよう、時間をかけて平準化を進める」とあるのは、「少しずつ被保険者の負担を上げます」ということでしょう。国がその方針で制度設計する限り、地方自治体はその枠内での努力となります。
また、地方議員を変えても、なかなか制度の詳細が変わらないことから「どうせ誰がなっても同じ」という気持ちを持ってしまいやすくなるように感じていますが、他の場面でも見られることで、上のスライド中の「国保運営協議会」が結局は方針を決める重要な役割を果たすことになります。
協議会を誰で構成するのかが重要ではないかと思います。
協議会を通じて決められることというのは、いわば民主主義の手順を経て決められることですので、数名の議員が異議・疑問を呈したところで、変更させるのは至難でしょう。
協議会メンバーの決定に都道府県知事が関与するならば、知事の存在は大きいでしょう。
上のスライドの中に「保険者努力支援制度」というものがあります。
前述したように、唐津市単位で医療費を抑制しても、国保特別会計にはお金を残すことができません。よって、赤字が生まれなくなったと同時に、この方法では黒字も生めず、県内全域で医療費が減少しない限り、医療費抑制=保険料負担減とはならない仕組みです。
国が打ち出してきたのが、医療費を抑制するためには、個々人が努力すべき。だから、努力を評価して、その評価に応じて「インセンティブ」つまり、課金しようというやり方です。そうすると、特別会計に「余剰金」が生まれ、「基金積立」が可能になり、国保に関して自治体が使い方を決められる財源となります。鳥栖市が基金で負担軽減をしていたのではないかと思います。
特定健康診断の受診率や、保険料の納付率、メタボリックシンドロームの方と予備軍の方たちへの指導など、ポイントの高い事業や、評価項目が年ごとに変わり、自治体はその国の基準を気にしながら事業を行うようになります。
上のスライドでは、きれいな事が並べられていますが、食品添加物や農薬の規制、教育への予算や労働環境の改善に向けた法改正など、個々人の健康に関する国の関与は私たちが意識していないだけで相当に大きいと考えています。
それを「努力したら評価しましょう」と言っていることが、そもそも疑問をもってみるところです。
保険料の納付率も高い方が、国から良く見られるため、督促などの通知を速達で出されることがあります。この費用について市民から指摘されたことがあります。この事務費は皆さんの保険料からではなく、別の税収(法定内繰り入れ)から出ています。保険料を無駄に使っている訳ではありませんので、ご理解ください。
最後に、国民健康保険の負担を軽減する(妥当なものにする)ために。
上のスライドは、法改正のものです。法によって、自治体の業務が変わります。
窓口でいくら実情を訴えても、苦言を呈しても、公務員は法に基づいて業務を行う義務があります。
国は「制度を継続可能にするために」を強調し続けていますが、市内でも約1000世帯もの方たちが滞納する状況は、国民皆保険の中身のない制度になろうと構わないということです。
それでは憲法に反します。全国知事会、全国市長会が、是正を求めていることは全うですし、唐津市議会も意見書を提出しています。
国政選挙では 憲法にきちんと向き合って制度設計を考えようとする人を選ぶことで、地方自治体の職員の仕事内容も変わるし、市民生活も変わると思い、今後の国政選挙での投票先を選んでいきたいと思います。
私は、この仕事に就くまで、「どうせ誰がなっても同じ」と思わされている背景を教えてくれる人になかなか出逢えませんでした。出逢いたかったです。
ですので、長文となりましたが、説明させていただきました。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。