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玄海原子力発電所対策特別委員会 報告

8月3日、原子力発電所対策特別委員会が開かれました。

www.city.karatsu.lg.jp

mainichi.jp

 

今回の協議内容は「安全協定に係る事前了解の経過について」で、今後の対応についても話す場とされ、執行部と議会での話となりました。

 

昭和40年から今に至るまでの年表、これまでに締結された協定書や覚書、唐津市が県・九州電力に行ってきた申入書の、大きく分けて3種類の資料が提出されました。

 

一通りの説明を受け「委員(議員)からの発言は、協議内容および資料に関することに限る」との事前注意が行われます。

議員の先輩方から、関係自治体との連携状況が確認され、例えば原発に関する県の発表がある前に連絡はあるけれど、事前に意見を聞かれることはないとのことです。「事前連絡」も、発表の数時間前、いわば「直前」のような連絡であり、改善を求めているということでした。

 

平成18年3月26日に、県と市で交わされた「確認書」では、「県は市の意向に十分配慮すること」という文言はありますが、様々な変更や措置の際に「事前に意見を聞かなければならない」と書かれた取り決めはありません。九州電力と交わされた協定書も同様です。

 

今に至るまでに、県内すべての市町が、原発に関する何らかの協定書・覚書を有しています。

www.pref.saga.lg.jp

 

そうすると、これまでの経過と共に、内容を一つ一つ見ていき、県や九州電力に住民を守るためのより具体的な要望・提案をしていかなければならないはずです。私はそう思って発言しましたが、安定ヨウ素剤の事前配布や、知識提供、避難受け入れ自治体との連携にまで至ってしまうことが「協議内容にそぐわない」と判断されてしまいました。(つまり聞けませんでした。すみません)

住民のみなさんにとって、とても大切なことで、受け入れ先自治体の議員さんの関心もあるのに、質問が下手だったのか申し訳ないです。

 

こちらで整理していきます。

 

まず、根底には、佐賀県唐津市の「安全」の規格が、国に準じているという問題があります。国の稼働認定基準に、避難計画が含まれないのと同様に、「原子力発電所の安全対策を求める」「情報提供を求める」という大枠を出た要望・提案をするつもりがありません。(という風に見えます)

一番、最近の令和元年9月に唐津市九州電力に渡した申入書には

「特定重大事故等対処施設については、設置期限である2022年8月24日(3号機)及び2022年9月13日(4号機)に遅延がないよう、各種手続きを含め工事の進捗を図ること。」が記載されています。

特重施設が完成しなければ原発が停止しますが、自治体がその心配をするのは不思議です。

 

平成29年4月に、唐津市長から佐賀県および佐賀県議会に「避難受入れ市町との連携確立」を含む申入書が提出されていますが、最近、耳にした受入れ先住民の話は非常に不安を感じるものでした。

 

同じく、平成29年4月、九州電力に対しても申入書を渡しており「重大事故は起こり得るとの前提に立ち、今後とも謙虚な姿勢で、安全対策向上の努力を続けること」が書かれています。

重大事故が起こり得るという前提に立つならば、住民への安定ヨウ素剤の知識啓発、配布への協力もあってしかるべきです。

以前、この特別委員会の中で、九州電力さんが原発の安全対策を知らせるために行っている個別訪問において、自治体の安定ヨウ素剤事前配布の広報への協力もいただけないかと聞いたときには「そうした説明まではしておりません」という内容のみの回答でした。

 

兵庫県篠山市(旧 丹波篠山市)が平成29年に行った、事前配布受取者へのアンケート調査では、誤飲はゼロ、有効回収数2001人中 1227人(61.3%)が「配布前に比べて安心した」と回答されています。

特徴としては、男性回答者657人に対し、女性回答者1337人と女性が多いこと。子どもがいる世帯が1523人と大変 多いことがあります。

案の定、自由記入欄には「万が一の時に子どもを守れる」という安心があり、事前説明会により「知識と薬を得られた」などが、行政への信頼感が高まったという結果にもつながっているようです。

 

また、茨城県、鹿児島県の安定ヨウ素剤事前説明資料や配布についての報告には、どちらも「服用不適」と「慎重投与」の項目がありますが、佐賀県では「慎重投与」について伝わっていないように感じます。

ヨウ素に対し過敏症がある」場合は、服用不適。「高血圧の服薬に含まれる成分、精神系の服薬に含まれるリチウム製剤、腎機能障がい」などの服薬・持病がある場合は、慎重投与となります。説明会場の医師よりも、かかりつけ医に相談された方がいいはずです。

鹿児島県川内市の報告が分かりやすいので添付します。

https://www.nsr.go.jp/data/000259449.pdf

 

協定書関係ですが、気になるのが、平成24年10月付けの「唐津市域の安全確保に関する協定書」では、『(損害の補償)第6条 乙(九州電力)は、発電所の保守運営に起因して甲(唐津市)の地域の住民に損害を与えた場合は、速やかに補償するものとする。』

平成25年8月付けの「佐賀県内住民の安全及び安心に係る原子力防災高度化に関する協定書」では、『(損害の補償)第8条 乙(九州電力)は、発電所の保守運営に起因して甲(17市町)の地域の住民に損害を与えた場合は、速やかに補償するものとする。』

とありますが、

平成28年2月付け「伊万里市民の安全確保に関する協定書」では、『(損害の補償)第10条 乙(九州電力)は、市民に対し、発電所の運転等により原子力損害を与えた場合は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)に基づき、速やかに補償するものとする。

 なお、「発電所の運転等により原子力損害を与えた場合」とは、住民の健康被害のほか、農林水産物等の財産被害及び生産物の価格低下、その他営業上の損害等も含むものとし、公正な第三者機関において、相当因果関係が認められたものとする。』

と書かれています。

elaws.e-gov.go.jp

 

この違いが意味することはなんでしょうか。伊万里市のみなさんは、どう思われるでしょうか。私自身、福島県での事故を踏まえて「住民が「原発事故による損害だ」と訴えても「証拠はない」と門前払いされないために、平時から判断指標を示しておくべきだ」と、特別委員会の中で九州電力さんに提案したこともあったかと思います。結局、ゼロ回答ですね。

 

こうした協定書の「公正な第三者機関」というのは、私は信用ならないと思っています。

現時点で、中立な立場で判断にあたることができる機関名をはっきり記載しておくべきではないでしょうか。その機関が「公正な第三者機関」であるのかを、平時に確認しておくべきです。

 

原子力災害時における住民の広域避難に関する覚書」では、避難受入れ場所では、原則は唐津市佐賀県が必要物資の確保に努めるとなっていますが、確保できなければ受入れ先に頼ることになります。費用負担が生じないようにするとの条文もありますが、万一の「その時」に財源を心配する人は稀です。地域住民と、遠くから避難してくる住民の分までのストックを考えてもらうには、普段から多めに予算が必要ですが、現在、国・県にその配慮はないのではないでしょうか。

避難施設についても、公営住宅も活用できれば幸いですが、近年はどこも財政が苦しく、建物の老朽化と人口減から戸数を削っているのではないかと推測します。

佐賀県内住民の安全及び安心に係る原子力防災高度化に関する協定書」には、『(防災対策の充実)第7条 乙(九州電力)は、甲(17市町)が発電所に係る甲の地域の防災対策を充実させるに当たって、積極的に協力するものとする。』とあります。

「協力」とは、どの範囲のものでしょうか。

避難先の施設、公営住宅が整備されていれば、唐津市から住民を避難させる側としては少しなりとも「行政の情報発信をきちんと見て」と言えますが、現在は「自力をたよって」とお伝えするのが妥当だと思います。

 

確かに、私にこれだけの確認をさせていたら、特別委員会が終わりません。それで止められたのかもしれません。

コロナ禍、万一 事故があったらどうするか、この間 一度でも県や避難先とやりとりがあったのかどうか、、、覚書でいえば「原子力災害時における住民の広域避難に関する覚書」でしょうか。ここには、それぞれの役割分担なども取り決められています。

 

久しぶりの長文になりましたが、ここまでのリスクを住民に負わせても「原子力発電」を行わなければいけないでしょうか。政治的に右だとか左だとか、そういう問題では全くないと思います。