行政のデジタル化 不信が残るのは技術か政府か
議案質疑にて挙げた事業「戸籍住民基本台帳事務費」について
この事業は、国の法改正によるもので、システム改修費も全て国庫から出ます。
関連する法律の改正は
・デジタル手続法
・住民基本台帳法
・戸籍法 です。
システム改修の内容は
・国外転出後もマイナンバーカード及び公的個人認証(電子証明書)の継続利用、発行等を可能にする
・戸籍の届け出時に戸籍謄抄本の添付を不要とする
・本籍地以外の市区町村の窓口で戸籍謄抄本の請求ができる など
具体的な省略可能な手続き例としては
・児童扶養手当の支給事務における続柄・死亡の事実・婚姻歴の確認
・国民年金の第3号被保険者(被保険者に扶養されている配偶者など)の資格取得事務における婚姻歴の確認
・奨学金の償還免除事務における死亡の事実の確認
・婚姻届け(本籍地以外での届)や養子縁組届けなど、様々な戸籍の届出の際における、戸籍謄抄本の提出が不要
・自らや父母等の戸籍について、本籍地以外の地区町村の窓口でも戸籍謄抄本が発行できる
・オンライン上で行政手続きをする際に利用可能な戸籍の証明書として、戸籍電子証明書(電子的な戸籍記録事項の証明情報)の発行ができる などです。
今議会に、同時に提出されたのは、マイナンバーカードを取得し、暗証番号を設定しておけばコンビニのマルチコピー機で住民票、印鑑登録証明書、戸籍証明書、所得 課税証明書などの交付が受けられるという「コンビニ交付導入事業費」です。
県内では佐賀市や小城市など複数の市町が導入、または導入予定があります。
便利になるのは良いことですが、代理人交付のハードルが下がりますので、マイナンバーカードの取り扱いには一層の注意が必要です。
正直なところ、以前 消去された住民票を取り直す支援をしたことがあり、戸籍抄本が本籍地からしか取れないことが手間でした。改正でその負担が軽減されるだろうかと考えました。
※ 職権消除
転居しても住民票を移動せず、連絡もとれず、長期間にわたって住民票の住所に居住していないことが明らかであるなど条件を満たすと「住民票がなくなる」という状態になります。気になる方は、「職権消除」で調べてみられてください。
また、死亡の確認が省略されるのならば、出生や死亡時の手続きを、それこそワンストップにして欲しいものです。庁内システムだけでできると思うのは、素人考えなのでしょうね。
注意していただきたいのが、マイナンバーカードを作ればお得で便利というイメージのコマーシャルが展開されていますが、マイナンバーカードをお持ちの方が婚姻届けを出して氏が変わる、引っ越して住所が変わるなどした時は、平日の窓口対応時間に書き換えに出向く必要があります。
これから先も、どこに紐づけされるか不透明な「マイナンバー」ですが、利便性と手間とリスクを勘案して、カードを持たれるかどうかを判断されてください。
マイナポイントがお得だから、制度はよく分からないけどカードを作ったというのは、私からすると最悪のケースです。元々、行政事務の効率化・市民サービスの向上のための制度。しかし、制度に今だに反発があるのは政府への不信からです。
何のために、どこまでの情報を紐づけするのか固まっておらず、法改正とシステム改修が繰り返されています。カードが普及して「カードがないと色々な手続きができないなど生活に支障がでる状態」にまでなったら、どれだけの紐づけを課されても使うしかありません。
カードを作る・作らないも「意思表示」です。
また、「事務の効率化」は「将来の人員削減」の道でもあります。
非常時に対応できる職員数も減ることになります。また、収入が安定していて、普段から地域に関わっている公務員は「地消」の担い手でもあったと思います。国は地方創生といい、東京に集中している企業や行政機関を地方へ分散させるなどと口ではいいますが、そもそも合併させなければ良かったのです。
言っていることと、やっていることが矛盾してきたこれまでを鑑みれば、マイナンバー制度もよからぬものだろうという見方が生まれてしまいます。