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唐津市 市民会館を考える

タイトルに「市民会館を考える」としましたが、「これからのまちづくり・ポストコロナの社会を考える」ことですし、合併して広くなった唐津市では、市民が唐津市について知るのが困難になっていることで「唐津市の将来」について考えるのが難しくなっているように感じます。

 

ですので、唐津市を再発見してもらうことも含めて書いていきます。

 

8月24日「第3回 新唐津市民会館基本計画 策定委員会」が開かれました。

※ 唐津市民会館

唐津市街地に昭和45年建設。耐震強度が基準値に満たないため、2021年3月31日で閉館 2021年度に取り壊しが決定。曳山展示場と市民会館の複合施設として2025年4月開館を目標にしている。

www.city.karatsu.lg.jp

 

「建設計画(案)」について、大ホールは「800~1000席」の検討だったものが「800席程度」との表記で示されました。

 

以前から、文化活動をされている方から「1500席はないと採算がとれないので、商業的な利用は難しい」と同時に、設備の使いにくさ(昔のものなので)を伺っていました。

しかし、『公共施設再配置計画の中で、市民会館・文化会館につきましては、将来的には1,000人規模の施設を広域施設として市域に一つの機能配置を基本とする。また、現有する複合施設のホール機能についても、300人規模の施設を市域に一つ、100人規模の施設を市域に一つの機能配置を基本とするという方向性を示しておりますが、これは市民会館・文化会館に限らず、市全体でホール機能の考え方であるというふうに考えております。この方向性につきましては、施設が使える間は使うこととしておりますので、建てかえ時期になった際、順次適用していくことを考えております。』(2019年6月13日 水上議員への政策部長答弁)となっていました。

 

市内の「ホール」の現状ですが

『市民会館・文化会館に位置づけている施設としましては、唐津市民会館、市民交流プラザ、相知交流文化センター、肥前文化会館の4施設でございます。

 このほかにホール機能を有している施設としまして、福祉施設の高齢者ふれあい会館とひれふりランド、体育館・武道館に位置づけている唐津市文化体育館などの3施設がございます。』とも答弁されています。

収容人数は

①現・唐津市民会館 1200席

②市民交流プラザ 131席

③相知交流文化センター 320席

肥前文化会館 608席

⑤高齢者ふれあい会館 204席

⑥ひれふりランド 800席

⑦文化体育館 文化ホール 378席

加えて、県立名護屋城博物館のホール 500席 です。

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鎮西町 名護屋城博物館 ホール


唐津市を支える人口はどうなっていくかというと、50年後に半減と言われています。

地域別での推移を「論点データ集」では、「鏡・浜玉地域に集中する」と予測しています。

www.city.karatsu.lg.jp

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唐津市論点データ集から

 現在の市民会館の利用状況は、第2回 新唐津市民会館基本計画 策定委員会」で共有されています。

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市民会館ホールの近年の利用状況


 

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市民会館ホールの近年の利用状況

議会では、2019年 全員協議会で「800~1000席」の説明だったとはいえ、800席で十分に活用される(採算を必要とする公演などが来る)のは難しいと分かっていましたし、作業部会・委員会にも関係者が入られるとのことでもあり、公共施設再配置計画の方針も踏まえて、1500席は叶わなくても1000席だろうと思ったことを反省しています。

 

新しくなる市民会館ホールの座席数については、第2回までの委員会でも「800席では採算がとれない」という意見が出ていました。24日 第3回目の委員会でも、重ねて発言されていました。「重ね使い」の建物を目指した結果、場所や施設を活かせなくなることへの問題提起もなされました。

 

800席のホールならば、作らずともよいのではないでしょうか。

市内の「ホール機能」の稼働率には、とても余裕があり、それらのホール利用を促進し、鎮西町肥前町厳木町相知町への流れを作ることも一考です。例えばですが、必要に応じて市街地からシャトルバスを運行する際の費用補助と、「800席のホール」の維持管理費では、将来負担はどう変わるでしょうか。

建替えを、曳山展示場・会議室と「広場」にして、イベント利用や、おくんち時に最も混雑する場所を快適にして欲しいという見方もあります。

 

作ってしまったら、向こう50年・60年、みんなで維持費を支えていく施設です。

一人一人が、意見やアイデアを出すのが「住民自治」と考えています。(日本国憲法にある「地方自治の本旨」=「住民自治」と「団体自治」)

現実には、仕事などをしながら「考える素材」を集めるだけでも困難です。

より多くの市民に「唐津市について考えるための素材」を提供することは、職員でも議員でも「公職」の務めであろうと受け止めています。市は、ほとんどの場合、計画や資料を公開していますが、考えるには、それらを繋ぐ必要があります。

 

平成の大合併から14年。基本理念は「市民力・地域力によるまちづくり」です。

七山、相知町厳木町肥前町鎮西町呼子町・・・・旧唐津地域でない方たちから「新しい市民会館は、自分たちとは関係ない」と思われるようでは、理念に届きません。

「文化・教育・歴史を伝える場所が必要」(24日の委員会より)との市の想いは大切ですが、それが800席のホールである必要について、委員から指摘されたものと見えました。

 

ホール機能そのものは、市内に小中 存在し(舞台装置などは不十分ながら)、近隣市町にもありますが、ポストコロナ社会でアウトドアスポーツを含むスポーツ・公園設備の充実、ネット環境の整備を強みとするまちづくりを考える余地はないものでしょうか。

 

曳山展示場を充実させ、市内の歴史・文化の紹介、周遊につなぐことも、市の想いに反するものではないと思います。

今年はクルーズ船寄港なし

しばしば尋ねられることに、クルーズ船の寄港についてのことがあります。

 

県も市も、クルーズ船の寄港による収入の増加や、賑わいづくり、インバウンドなどを狙い取り組んできた結果、順調に国内外からの寄港が増えていました。

反面、感染症の流行により、こちらから寄港を断われるかというと難しいところがありました。相手あっての話であり、あちらもお客様あってのことですので、お互いに慎重に構えていたというところでしょうか。

 

結果、今年の寄港はすべてなくなることとなりました。

気にしている方がいらっしゃいますので、直接 お伝えできる人には お伝えしていきます。

2020年クルーズ船寄港予定/唐津市

 

手洗い、消毒、清潔、距離を保ってまいりましょう。

新エネと環境と産業と

佐賀県唐津市

いま、海に陸に大型風力発電の開発がなされようとしている地域です。

 

まず、現在「(仮称)佐賀県唐津市沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」の縦覧中である洋上風力発電。馬渡島周辺海域に最大75基の洋上風力発電機が建設されるかもしれない提案です。

www.city.karatsu.lg.jp

www.acacia-renewables.com

www.osakagas.co.jp

 

19日、呼子公民館にて説明会が行われました。告知は県のHPにて行われています。

www.pref.saga.lg.jp

約40名の方が足を運ばれていました。質疑応答では漁業への影響や事故・安全性への質問が挙がりました。

この間、資料をもって参加していない市民の方と意見交換をしてきました。

まず、「漁業者が了解すれば済む話なのか」という点があります。確かに漁業への影響について慎重であることは必要ですが、同時に地球環境に対してどうなのかという視点が必要です。

これまでも日本の産業・開発は、環境保全・倫理的視点が脇に置かれてきました。原子力発電が分かりやすい例です。ヨーロッパは原子力の利用についての議論に倫理的視点からの意見も尊重していました。洋上風力発電に取り組む佐賀県の研究会「J SCRUM」(ジェイ・スクラム)も産業・金融が主な会員です。洋上風力に反対する訳ではなく、反対も賛成も、現状ではできない状態と受け止めています。

 

漁業者さんから質疑があった「台風への強度」については、台湾沿岸で稼働して大丈夫ならば、大丈夫だろうと思います。昔、台湾のすぐ傍の与那国島にいたことがあります。台風は本土の比ではありませんでした。あの威力に耐えているなら、唐津にくる程度の台風は問題にはなりません。

 

この開発計画は、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」という法によっています。その中で『(関係地方公共団体の責務)第五条 関係地方公共団体は、基本理念にのっとり、前条に規定する国の施策に協力して、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する施策を推進するよう努めなければならない。』となっています。法律上、国が地方自治体に求めているのは、これが全てです。

 

19日の説明会で、不十分だったとみているのは、漁業者に「法定協議会」への参加に理解を求めるとき、その協議会で詳細な調査・検討を行ったときに、その内容を踏まえて「この海域では採算がとれるほどの設置は難しいのではないか」つまり、計画の大幅な見直しも有りうるのかなど、「法定協議会の先の選択肢」をはっきり示さなかったことです。

説明で示された海外の前例は、水深が違います。馬渡島近海の方がずっと深いのです。また、地震のリスクも違うでしょう。唐津南海トラフ地震を想定しても、全国屈指の小規模被害地域であることは私も意識していますし、日本全体にとって「要」となるかもしれない地域だと考えています。

その地域の強靭化を進めることは理解できますし、技術者を育てたいというのも分かります。では、何を危惧するのかというと、推計される経済効果が10兆円規模であり、「何がなんでも開発をする」という流れになれば、クリーンエネルギーのはずが、建設過程で大量の二酸化炭素を出し環境にダメージを与えた上、期待した成果にならなかった。しかし、実はその可能性も分かっていた、、、という事態になって欲しくないということです。

地球にとって何も保全にならなくとも、仕事は生まれ経済は振興するのは事実です。

説明会で、説明をされていた大学教授も事業者も、そこまでの責任は負いません。法も求めていません。「当時は想定できなかった」といえば済みます。

協議会には、進んで環境保全の専門家と、長年 玄界灘を観察・記録してきた人間をいれるべきです。その人たちの意見は、経済界の意見より尊重されるべきです。

 

とても残念な話にも触れなければいけません。洋上風力発電の開発に関わらず、玄界灘の生態系は変わってきています。海藻の種類(温帯から亜熱帯へ)が変わり、カクレクマノミが越冬し産卵するようになりました。海流も変化しているようです。洋上風力発電に関係なく、これまでと同じ漁業を続けるのは難しいだろうと見込まれます。しかし、私は専門家ではありません。

後々、洋上風力発電が原因でこれまでの漁業ができなくなったなどの思いを、不要に抱えさせることがないよう、玄界灘の変化そのものを市民に広く知らせ、考えを共有していただきたいという想いです。

国策で住民が分断されるのは、もう嫌です。

 

洋上風力について、最後になりますが、唐津市の縦覧場所の少なさに疑問を感じます。市役所本庁の一か所ですが、カウンターの隅に置かれた環境配慮書を、立ちっぱなしで読まなければいけません。

長崎県では、離島や陸続きの支所・公民館にも手厚く置かれています。

アカシア・リニューアブルズ株式会社のHPからは環境配慮書を見られませんでした。唐津市民への配慮を長崎県と同じくらいには行っていただきたいと感じます。

赤枠で囲った辺りが、馬渡島海域で、赤い指が唐津市本庁です。唐津市では、この一か所のみです。

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縦覧可能な施設(赤い矢印が唐津市役所)


陸上風力発電では、七山の唐津市糸島市との境に10基ほどの風力発電の「計画段階環境配慮書」の縦覧が8月11日まで行われていました。

風力発電の建設だけでなく、建設するための山林開拓が必要になります。どれほどの伐採になるのか定かではありません。(画像赤枠が環境配慮書に示された予定エリアでした)

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ぎこちない線ですが、赤く囲った部分が建設計画エリア


コロナ禍において、新エネルギーや気候危機関連のセミナーのウェブ化が進みました。建築基準における省エネ・断熱構造の促進や、日本中に残っている「電気温水器」の「エコキュート」への買い替え促進(電気温水器はエコキュートの約4倍も電気を消費するといわれています)、地域分散・市民電力の促進など、地味ながら「全国どこでも出来る省エネ・再エネ」の普及を目指して学習・交流を続けています。

終戦記念日

11時55分、移動中 コンビニの駐車場に入りました。

12時 終戦記念日のサイレンが鳴ります。

 

駐車場から黙とう

黙とう中、垂れた頭を サイレン終了と同時に空を仰ぎました。

雲一つない空が 青かったです。

 

『青い空は』

https://www.uta-net.com/movie/51969/

 

唐津市では、例年 合併前の町村ごとに戦没者の追悼式を執り行います。

今年は、新型コロナウイルス感染予防のため中止していますが、戦争で命をおとされた方々の写真を壇上いっぱいに示す地域もあります。

 

戦争は起こしてはいけない

戦争は「正義」を掲げて突き進む

 

だからこそ、日本国憲法は権力の間違いを許さないという「日本国民の決意」で前文を始めたのでしょうか。

 

某政党の憲法改正草案では、「戦争の放棄」の文言をなくし、「安全保障」に変え、「国防軍」を明記するようになっています。

それはもう、「戦後75年」から「戦前X年」になることと受け止めています。

 

『青い空は 青いままで

子どもらに伝えたい

燃える 八月の朝 影まで燃えつきた

父の 母の 兄弟たちの

命の重みを 肩にせおって 胸に抱いて』

過去と向き合い 学び、行動する姿勢を、末永く子孫に継承する国であることに誇りを持って、日本人として生きていきます。

新型コロナウイルス感染症の影響と支援の取組みについて(考)

11日(火)は、産業経済委員会、市民厚生委員会、公共施設のあり方に係る特別委員会(作業部会)と、終日 委員会が行われました。

 私の常任委員会は「都市整備委員会」なので、産業経済と市民厚生は傍聴に入りました。

 

産業経済、市民厚生 ともに新型コロナウイルス感染症にかかる継続調査による開催ですので、内容は感染症対策が主です。

 

感染症の予防策では、これまでの取組みに加えて飲食店の対策状況が入店前に分かるように項目シートを使ってはどうかという意見が委員からでました。多くの場合、取り組む場合には県が取り組んでいます。

業種によって「ならでは」の注意点もあり、東京都が業種ごとのチェックシートを公開していますので、参考にしていただければと思います。店舗が表示すると同時に、全ての人が注意のポイントを知ることは大切だと思います。

www.bousai.metro.tokyo.lg.jp

 

定期発行される「ボートレース開催日程カレンダー」(カードサイズ)には、入場者の方の協力を必要とする項目、感染防止のため利用制限のあるサービス、閉鎖するサービスなどを掲載しています。

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ボートレース開催日程カレンダー 感染症対策注意書き


産業経済委員会では、経済対策事業の進捗について経過報告が行われました。

水産物で20%以上単価が下がったものは38魚種で、そのうち5割前後と大きく単価が減少したのがハモ、太刀魚、コノシロでした。コノシロというと、コハダが成長したものですよね。いずれも、家庭で調理するというより、飲食店で出される魚種の価格下落率が大きいようです。

 

持続化支援助成金では、旅館・飲食店を対象とした助成金は、予算額の85%を交付していますが、全業種を対象とした助成金は予算額の30%台の交付に留まっています。(8月7日時点)

予算の算定を行うときには、統計データから市内のあらゆる事業者さんを取りこぼすことなく支援できるように考えられていました。国の持続化給付金(個人事業主だと100万円)や特別定額給付金(一人10万円)などもあり、また、観光産業に係る業種の割合がそこまで高くなかった(市民利用を主としていることや、感染症に左右されにくいサービス・商品を扱っているなど)ことなどが背景としてあるのかなと考えています。

 

同時に、ひっ迫する業種とそうでもない業種に分かれていることが、厚生労働省のLINEアンケート結果からも伺えます。

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厚生労働省 LINEアンケート結果

www.mhlw.go.jp

 

残念だったのは、前回の産経委員会で医療・福祉に携わる方への配慮について「その他」として委員から触れられたものの、11日の市民厚生・産業経済の両委員会とも言及がなかったことです。

ボーナスがなかったり、減らされているのは都会だけの話ではありません。さらに、医療・介護の現場で働く人は特に気を付けなければならず、心身の負担と共に自費での予防策もとられていることもあります。ボーナスが削られるどころか、特別給付があってもおかしくない状況ではないでしょうか。みなさんからの情報を、行政に直接でも、身近な議員さんにでもよいので届けることなどにより現状が明らかになるところから対応策は始まります。私が知っているのは一部のことであり、まだ不十分です。

よりよい方に、みんなで動かしていきましょう。

玄海原子力発電所対策特別委員会 報告

8月3日、原子力発電所対策特別委員会が開かれました。

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mainichi.jp

 

今回の協議内容は「安全協定に係る事前了解の経過について」で、今後の対応についても話す場とされ、執行部と議会での話となりました。

 

昭和40年から今に至るまでの年表、これまでに締結された協定書や覚書、唐津市が県・九州電力に行ってきた申入書の、大きく分けて3種類の資料が提出されました。

 

一通りの説明を受け「委員(議員)からの発言は、協議内容および資料に関することに限る」との事前注意が行われます。

議員の先輩方から、関係自治体との連携状況が確認され、例えば原発に関する県の発表がある前に連絡はあるけれど、事前に意見を聞かれることはないとのことです。「事前連絡」も、発表の数時間前、いわば「直前」のような連絡であり、改善を求めているということでした。

 

平成18年3月26日に、県と市で交わされた「確認書」では、「県は市の意向に十分配慮すること」という文言はありますが、様々な変更や措置の際に「事前に意見を聞かなければならない」と書かれた取り決めはありません。九州電力と交わされた協定書も同様です。

 

今に至るまでに、県内すべての市町が、原発に関する何らかの協定書・覚書を有しています。

www.pref.saga.lg.jp

 

そうすると、これまでの経過と共に、内容を一つ一つ見ていき、県や九州電力に住民を守るためのより具体的な要望・提案をしていかなければならないはずです。私はそう思って発言しましたが、安定ヨウ素剤の事前配布や、知識提供、避難受け入れ自治体との連携にまで至ってしまうことが「協議内容にそぐわない」と判断されてしまいました。(つまり聞けませんでした。すみません)

住民のみなさんにとって、とても大切なことで、受け入れ先自治体の議員さんの関心もあるのに、質問が下手だったのか申し訳ないです。

 

こちらで整理していきます。

 

まず、根底には、佐賀県唐津市の「安全」の規格が、国に準じているという問題があります。国の稼働認定基準に、避難計画が含まれないのと同様に、「原子力発電所の安全対策を求める」「情報提供を求める」という大枠を出た要望・提案をするつもりがありません。(という風に見えます)

一番、最近の令和元年9月に唐津市九州電力に渡した申入書には

「特定重大事故等対処施設については、設置期限である2022年8月24日(3号機)及び2022年9月13日(4号機)に遅延がないよう、各種手続きを含め工事の進捗を図ること。」が記載されています。

特重施設が完成しなければ原発が停止しますが、自治体がその心配をするのは不思議です。

 

平成29年4月に、唐津市長から佐賀県および佐賀県議会に「避難受入れ市町との連携確立」を含む申入書が提出されていますが、最近、耳にした受入れ先住民の話は非常に不安を感じるものでした。

 

同じく、平成29年4月、九州電力に対しても申入書を渡しており「重大事故は起こり得るとの前提に立ち、今後とも謙虚な姿勢で、安全対策向上の努力を続けること」が書かれています。

重大事故が起こり得るという前提に立つならば、住民への安定ヨウ素剤の知識啓発、配布への協力もあってしかるべきです。

以前、この特別委員会の中で、九州電力さんが原発の安全対策を知らせるために行っている個別訪問において、自治体の安定ヨウ素剤事前配布の広報への協力もいただけないかと聞いたときには「そうした説明まではしておりません」という内容のみの回答でした。

 

兵庫県篠山市(旧 丹波篠山市)が平成29年に行った、事前配布受取者へのアンケート調査では、誤飲はゼロ、有効回収数2001人中 1227人(61.3%)が「配布前に比べて安心した」と回答されています。

特徴としては、男性回答者657人に対し、女性回答者1337人と女性が多いこと。子どもがいる世帯が1523人と大変 多いことがあります。

案の定、自由記入欄には「万が一の時に子どもを守れる」という安心があり、事前説明会により「知識と薬を得られた」などが、行政への信頼感が高まったという結果にもつながっているようです。

 

また、茨城県、鹿児島県の安定ヨウ素剤事前説明資料や配布についての報告には、どちらも「服用不適」と「慎重投与」の項目がありますが、佐賀県では「慎重投与」について伝わっていないように感じます。

ヨウ素に対し過敏症がある」場合は、服用不適。「高血圧の服薬に含まれる成分、精神系の服薬に含まれるリチウム製剤、腎機能障がい」などの服薬・持病がある場合は、慎重投与となります。説明会場の医師よりも、かかりつけ医に相談された方がいいはずです。

鹿児島県川内市の報告が分かりやすいので添付します。

https://www.nsr.go.jp/data/000259449.pdf

 

協定書関係ですが、気になるのが、平成24年10月付けの「唐津市域の安全確保に関する協定書」では、『(損害の補償)第6条 乙(九州電力)は、発電所の保守運営に起因して甲(唐津市)の地域の住民に損害を与えた場合は、速やかに補償するものとする。』

平成25年8月付けの「佐賀県内住民の安全及び安心に係る原子力防災高度化に関する協定書」では、『(損害の補償)第8条 乙(九州電力)は、発電所の保守運営に起因して甲(17市町)の地域の住民に損害を与えた場合は、速やかに補償するものとする。』

とありますが、

平成28年2月付け「伊万里市民の安全確保に関する協定書」では、『(損害の補償)第10条 乙(九州電力)は、市民に対し、発電所の運転等により原子力損害を与えた場合は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)に基づき、速やかに補償するものとする。

 なお、「発電所の運転等により原子力損害を与えた場合」とは、住民の健康被害のほか、農林水産物等の財産被害及び生産物の価格低下、その他営業上の損害等も含むものとし、公正な第三者機関において、相当因果関係が認められたものとする。』

と書かれています。

elaws.e-gov.go.jp

 

この違いが意味することはなんでしょうか。伊万里市のみなさんは、どう思われるでしょうか。私自身、福島県での事故を踏まえて「住民が「原発事故による損害だ」と訴えても「証拠はない」と門前払いされないために、平時から判断指標を示しておくべきだ」と、特別委員会の中で九州電力さんに提案したこともあったかと思います。結局、ゼロ回答ですね。

 

こうした協定書の「公正な第三者機関」というのは、私は信用ならないと思っています。

現時点で、中立な立場で判断にあたることができる機関名をはっきり記載しておくべきではないでしょうか。その機関が「公正な第三者機関」であるのかを、平時に確認しておくべきです。

 

原子力災害時における住民の広域避難に関する覚書」では、避難受入れ場所では、原則は唐津市佐賀県が必要物資の確保に努めるとなっていますが、確保できなければ受入れ先に頼ることになります。費用負担が生じないようにするとの条文もありますが、万一の「その時」に財源を心配する人は稀です。地域住民と、遠くから避難してくる住民の分までのストックを考えてもらうには、普段から多めに予算が必要ですが、現在、国・県にその配慮はないのではないでしょうか。

避難施設についても、公営住宅も活用できれば幸いですが、近年はどこも財政が苦しく、建物の老朽化と人口減から戸数を削っているのではないかと推測します。

佐賀県内住民の安全及び安心に係る原子力防災高度化に関する協定書」には、『(防災対策の充実)第7条 乙(九州電力)は、甲(17市町)が発電所に係る甲の地域の防災対策を充実させるに当たって、積極的に協力するものとする。』とあります。

「協力」とは、どの範囲のものでしょうか。

避難先の施設、公営住宅が整備されていれば、唐津市から住民を避難させる側としては少しなりとも「行政の情報発信をきちんと見て」と言えますが、現在は「自力をたよって」とお伝えするのが妥当だと思います。

 

確かに、私にこれだけの確認をさせていたら、特別委員会が終わりません。それで止められたのかもしれません。

コロナ禍、万一 事故があったらどうするか、この間 一度でも県や避難先とやりとりがあったのかどうか、、、覚書でいえば「原子力災害時における住民の広域避難に関する覚書」でしょうか。ここには、それぞれの役割分担なども取り決められています。

 

久しぶりの長文になりましたが、ここまでのリスクを住民に負わせても「原子力発電」を行わなければいけないでしょうか。政治的に右だとか左だとか、そういう問題では全くないと思います。

安定ヨウ素剤 8月に配布@唐津市

www.city.karatsu.lg.jp

 

PAZとは

玄海原子力発電所からおおむね5キロ圏内

 唐津市民 4157人

  配布数 2132人

  配布率 51.2%

   うち40歳未満人口 1309人

     配布数 603人

     配布率 46.0%

 

UPZとは

玄海原子力発電所からおおむね30キロ圏内

 唐津市民 11万7186人

  配布数 480人

  配布率 0.4%

   うち40歳未満人口 4万3653人

     配布数 215人

     配布率 0.5%

 

安定ヨウ素剤とは

原子力災害発生時に放出される可能性がある放射性物質のうち、甲状腺がん等を発生させる可能性がある放射性ヨウ素による内部被ばくを抑える効果がある医療用医薬品

 

一番いいのは、原発事故が起きないことで、そのためには省エネ化と同時に再エネ化を進め「原発事故が起こりえない状況」をつくっていくことです。

かつて、インフラや移動技術、通信技術が発達していなかった時代に、出稼ぎしなければ生活できない地域がありました。そうした地域に「地元に働き口ができて、家族で暮らせる。人口が流出しない」と言って造られたのが原子力発電所です。

事業者にとって都合のいい幻想だったことは、今を見れば分かります。

町民にとって、向き合うのはつらい過去かもしれませんが、これからのことを考えれば廃炉を目指していくのがよいでしょう。

 

安定ヨウ素剤の配布については、国が「40歳未満を原則とする」と言い出しましたが、住民はみんな配布対象です。UPZ圏は、事故が起きてもまずは屋内待機という計画で、渋滞を避けるためと言われていますが、避難指示が出るときは間違いなく被ばくする時です。年齢に関係なく、受け取って持ち歩かれてください。