雑な報道は摩擦を起こす 学校のエアコンの件@唐津市
唐津市は元々、学校のエアコンの設置率が低く、その理由の一つに財源課題がありました。
小中42校、416の普通教室に全てエアコンをつける事業費は概算で約9億5000万円(大規模改築9校を除く)となっています。
2018年2月に、事業費を年間1億2000~1億5000万円ほどに平準化して、設置を進める計画を立てました。当時、2019年~2025年の7年間の計画となっていました。
この計画が、もっと早く決定されていれば、今回の事態も違ったものになっていただろうと思います。しかし、時間は前にしか進みません。まず、現状をお知らせしたいと思います。
その後、2018年夏の全国的に「災害級の猛暑」との発表を受けて、11月に「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」が国会で成立し、同月中に唐津市の計画は、7年間を2年間に凝縮した計画に変更されました。
これは、地元紙でも触れられ、「唐津市は2020年度の完了予定」と書かれました。
現在、計画は予定通りに進んでいます。
年度が変わってから、6月に国の事業費の決定があり、7月から12月の放課後や土日を含む休校日に電源や配線、機器の改修・設置が行われます。
市内の業者数やマンパワーは限られておりフル稼働してもらっての予定。7月から12月の整備教室数は最大290室です(個別調整中の学校も含む)。
これに対して、新型コロナウイルスでの休校は予定していない事態でした。
夏休みの期間を短縮しましたが、午前中授業にすることや、発言することのない授業中はマスクを外す、また学校ごとに環境が違うため学校ごとの工夫を推進するようにしています。
8月24日からは午後まで授業を予定していますが、盆を過ぎて暑さのピークは越える時期との判断です。しかしながら、近年は9月になっても結構な暑さが続くようになっていますので、子ども達の体調をみながら臨機応変に対応して欲しいと思います。
県立校で、急遽、エアコンを設置したとの話ですが、唐津市にあてはめて試算すると2カ月のレンタル等の経費が約9000万円となります。
それと同時に、元々 計画していた設置工事を進めることになるのです。
9000万円とは、唐津くんち振興事業の9年分です。
岩屋ライフセンター運営費の15年分です。
呼子観光物産館の管理費33年分です。
スクールカウンセラー事業費の11年分です。
小学校複式学級対策費の3年分です。
コミュニティセンター運営費の4年分です。
ここに挙げたのは、今年度の事業費全額での概算で、少なくともこれだけの事業ができる金額です。
なにより、前述したように、事業者のマンパワーも余裕がない状態で、これだけの仮設・撤去をすれば、設置計画は間に合わなくなる恐れがあります。
財政面でも、財源となっている交付金は「臨時特例」です。今年度を逃せば、今年度、設置確実となっていた18校への設置は何年先になるか分かりません。
夏休みを通常通りに設ければ、保護者さんとしては他の地域との学力差を気にされることもあるでしょう。そういう側面からは、夏休み短縮はやむを得ない判断でもあります。
今年度計画分のエアコン設置を完了させるため、係に充足された人員の多くが現場確認に出ており、教育委員会事務局の担当部署の机は無人となっています。
私としては、設置期間が短縮された時点で、予定通りに完了するには全力でやってもらわなければいけないと思っていた事業です。今年の暑さ対策をしつつ、こちらの手を緩めさせる訳にはいきません。
これまでの経過や、現状、具体的な数字を知ったうえで、子ども達の学ぶ権利を守るために何ができるか、唐津市のおとな一人一人が考えて行動をすれば、子ども達にとってより良い環境ができていくのではないでしょうか。
今回はエアコンの話でしたが、テストの点数を追い求めるのが教育なのか?また、インターネットを活用した学習環境の整備(ウェブ授業など)についてなど、波及するテーマは幅広いものであり、研究を続けています。